近年の少子化による労働者不足の深刻化や急速な高齢化の進行に伴い、外国人労働者の受け入れが拡大してきています。今や日本企業にとっても外国人による労働力の確保は必然であり、外国人のみなさんは日本社会を形作る大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
今日は外国人が日本で仕事をするのに必要な手続きについて、日本における外国人労働者の現状とともに見ていきたいと思います。
外国人が日本で仕事をするのに必要な手続きの基礎知識
外国人労働者数の推移
日本の労働力不足や高齢化の進行に伴い、外国人労働者の受け入れが拡大しているため、日本での就労外国人数は、近年増加傾向にあります。以下に、外国人労働者数の推移を示します。
2019年から2021年頃までの期間は新型コロナウイルス蔓延により外国人の受入れが一時的に止められていた為、大きな増加は見られなかったものの、2022年には再び増加傾向となり、その数は1,822,725人となりました。2017年と比較すると5年間で約54,000人(約42%)増加しています。
(著者作・出典:厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況まとめ)
外国人労働者の増加が特に顕著になり始めたのは2010年頃からです。この時期から、日本は深刻な労働力不足や高齢化問題に直面し、外国人労働者の受け入れが急速に拡大しました。
外国人労働者増加の要因
- 人手不足:
- 特に介護、農業、建設業、製造業などで労働力が不足しており、外国人労働者の需要が高まっています。
- 技能実習制度の拡大:
- 1993年に導入された技能実習制度が2000年代後半から拡大し、特に2010年以降、実習生の数が増加しました。
- 高度外国人材の受け入れ促進:
- 2012年に「高度人材ポイント制」が導入され、ITエンジニアや専門職の外国人材を積極的に受け入れる方針が示されました。
- 特定技能ビザの導入:
- 2019年に新しい就労ビザである「特定技能ビザ」が導入され、特定産業分野における外国人労働者の受け入れがさらに拡大しました。これにより、特に人手不足が深刻な介護、農業、建設業などで外国人労働者の増加が加速しました。
このような政策の影響により、2010年以降、外国人労働者の数は急増し、特に2016年以降の増加が顕著です。
入管法の制度と意義について
日本の入国管理及び難民認定法(入管法)は、日本の安全と秩序を維持しつつ、外国人の受け入れを適切に管理することを目的とした、外国人の出入国および在留に関する管理を規定する法律です。
この入管法の目的と意義はみましょう。
- 国境の管理
- 入管法は、日本の国境を管理することが主な目的です。誰がどのような目的で入国し、どれくらいの期間滞在できるかを規定しています。これにより、違法な入国や不正な滞在を防ぎ、ひいては日本の安全を保護します。
- 入管法は、日本の国境を管理することが主な目的です。誰がどのような目的で入国し、どれくらいの期間滞在できるかを規定しています。これにより、違法な入国や不正な滞在を防ぎ、ひいては日本の安全を保護します。
- 外国人の在留管理
- 外国人が日本に滞在する際の条件や期間を規定し、適切なビザや在留資格を与えることで、日本社会における外国人の適正な受け入れを促進します。また、在留資格を取得している外国人が、日本の法律に従い、適切な範囲で活動することを確保します。
- 外国人が日本に滞在する際の条件や期間を規定し、適切なビザや在留資格を与えることで、日本社会における外国人の適正な受け入れを促進します。また、在留資格を取得している外国人が、日本の法律に従い、適切な範囲で活動することを確保します。
- 労働市場の保護と外国人労働者の受け入れ
- 入管法は、外国人労働者の受け入れに関するルールを定め、どの職種や業界にどのような資格を持つ外国人が働けるかを規定します。これにより、日本の労働市場が不正な労働力によって混乱することを防ぐと同時に、適切に管理された外国人労働力の受け入れを進めています。
- 入管法は、外国人労働者の受け入れに関するルールを定め、どの職種や業界にどのような資格を持つ外国人が働けるかを規定します。これにより、日本の労働市場が不正な労働力によって混乱することを防ぐと同時に、適切に管理された外国人労働力の受け入れを進めています。
- 人道的な難民保護
- 入管法には、難民の認定に関する規定も含まれており、迫害を逃れて日本に避難してきた人々に対して保護を与える制度を整えています。難民認定制度を通じて、人道的な観点から、迫害を受ける恐れのある外国人を救済する仕組みを提供しています。
- 入管法には、難民の認定に関する規定も含まれており、迫害を逃れて日本に避難してきた人々に対して保護を与える制度を整えています。難民認定制度を通じて、人道的な観点から、迫害を受ける恐れのある外国人を救済する仕組みを提供しています。
- 社会秩序の維持
- 入管法は、犯罪を防止し、治安を守るために重要な役割を果たしています。例えば、外国人が犯罪を犯した場合や、入国後に違法な活動を行った場合、強制退去などの措置が講じられます。また、在留資格の取り消しや入国拒否の権限も含まれています。
- 入管法は、犯罪を防止し、治安を守るために重要な役割を果たしています。例えば、外国人が犯罪を犯した場合や、入国後に違法な活動を行った場合、強制退去などの措置が講じられます。また、在留資格の取り消しや入国拒否の権限も含まれています。
- 国際的な義務の履行
- 日本は国際社会の一員として、国際条約や協定に基づく義務を果たす必要があります。入管法は、これらの国際的な義務を国内法に反映させ、他国との協力のもとに出入国管理を行っています。
以上のように、入管法の意義は、日本の安全と秩序を守る一方で、外国人の適切な受け入れを管理し、労働市場や国際的な協力を調整することにあります。この法律は、国境管理や労働市場の保護、難民の保護、人道的措置の提供など、多岐にわたる役割を果たしています。
在留資格制度とは
在留資格とは、外国人が日本に在留して「一定の活動を行うことができる法的地位」または「一定の身分若しくは地位を有する者としての活動を行うことができる法的地位」のことをいいます。
日本に在留する外国人は、入管法及び他の法律に特別の定めがある場合を除き、外国人に対する上陸許可もしくはその外国人の取得した在留資格をもって在留するものと定められています。
出入国管理及び難民認定法
(在留資格及び在留期間)第2条の2 本邦に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、それぞれ、当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取得に係る在留資格(高度専門職の在留資格にあつては別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄に掲げる第1号イからハまで又は第2号の区分を含み、特定技能の在留資格にあつては同表の特定技能の項の下欄に掲げる第1号又は第2号の区分を含み、技能実習の在留資格にあつては同表の技能実習の項の下欄に掲げる第1号イ若しくはロ、第2号イ若しくはロ又は第3号イ若しくはロの区分を含む。以下同じ。)又はそれらの変更に係る在留資格をもつて在留するものとする。
外国人が日本で仕事をするためのステップと条件
上記の入管法の規定に基づいて、外国人が日本で仕事をするためには、下記の条件を満たし、重要なステップを踏んだ手続きが必要となります。
- 査証(VISA)の取得
- 外国人が日本で働くためには、適切な就労ビザが必要です。ビザの種類は、従事する仕事の種類や契約期間によって異なります。主な就労ビザの種類は以下の通りです。
- 技術・人文知識・国際業務:IT、エンジニア、マーケティング、翻訳などの職種。
- 高度専門職:高度な専門知識やスキルを持つ職業。
- 技能:特定の技術を持った職業(例:シェフ、建設、製造など)。
- 特定技能:特定の業種(介護、飲食業など)で人材不足を補うために設けられたビザ。
- 企業内転勤:海外企業の日本支社に転勤する場合。
- 外国人が日本で働くためには、適切な就労ビザが必要です。ビザの種類は、従事する仕事の種類や契約期間によって異なります。主な就労ビザの種類は以下の通りです。
- 雇用先の確保
- 就労ビザを取得するためには、雇用先が日本にあることが必要です。多くの場合、ビザ申請には雇用、委任、委託、請負、嘱託等の契約が必要です。雇用先が在留資格認定証明書の発行をサポートしてくれることが一般的です。
- 就労ビザを取得するためには、雇用先が日本にあることが必要です。多くの場合、ビザ申請には雇用、委任、委託、請負、嘱託等の契約が必要です。雇用先が在留資格認定証明書の発行をサポートしてくれることが一般的です。
- 在留資格認定証明書の申請
- 雇用主が法務省に「在留資格認定証明書」を申請し、これが許可されると、申請者に発行されます。許可される要件として雇用主が国、地方公共団体、独立行政法人、会社、公益法人等、または日本に事務所等を有する外国の国、地方公共団体、地方政府、外国の法人等があります。
但し、正式な雇用契約があっても労働時間、賃金、休暇などの規定が「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けること」または「日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」など、厳しい要件が定められています。
この証明書を持って、日本大使館や領事館で就労ビザを申請することができます。
- 雇用主が法務省に「在留資格認定証明書」を申請し、これが許可されると、申請者に発行されます。許可される要件として雇用主が国、地方公共団体、独立行政法人、会社、公益法人等、または日本に事務所等を有する外国の国、地方公共団体、地方政府、外国の法人等があります。
- 日本語のスキル
- 特定の職種では日本語能力が求められることがあります。特に、日本の企業文化や顧客と直接コミュニケーションを取る職業では、日本語が必要です。日本語能力試験(JLPT)などの資格を取得しておくと有利です。
- 特定の職種では日本語能力が求められることがあります。特に、日本の企業文化や顧客と直接コミュニケーションを取る職業では、日本語が必要です。日本語能力試験(JLPT)などの資格を取得しておくと有利です。
- 日本の労働法を理解する
- 日本で働く場合、労働法や労働条件に関する規則を理解しておくことが重要です。例えば、労働時間、賃金、休暇、社会保険などです。
行政書士がお手伝いできること
法令により中長期在留者に関する届出、在留資格に関する申請については、本人が出頭して行うべきことが原則とされています。
一方で上記の通り、在留許可を取得するためには、その資格の種類は多岐にわたります。またそれぞれの資格を取得するための要件は厳格に定められており、それぞれの要件に合致していることを証明するための書類も多岐にわたり、書類に少しでも不備があれば許可されないことになります。
そこで「本人出向原則の例外」として、一定の講習を受けて許可を受けた「行政書士又は弁護士」は、この申請の取次を行うことが許されています。
この制度は、日本語が不自由な外国人、手続きが煩雑で分からない事業者等と、出入国管理庁等の行政庁の橋渡しを専門家が行うことにより、双方にとって手続きの円滑化に寄与するものとして導入されています。
なお、在留申請に関して他人の依頼を受けて報酬を得てする書類作成等の代行は行政書士法により「行政書士の法定独占業務」とされています。このため外国人人材の斡旋業者(ブローカー)等が報酬を得て申請書類の作成を行うことは処罰の対象となります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
冒頭でも述べた通り、今や外国人は日本社会を形作るなくてはならない存在です。多くの外国人が適法に許可を得て日本に在留し、我々日本人の仲間として日本の未来を一緒に担っていける社会になっていくことを望んでいます。
コメント