建設業を営む上で欠かせない「建設業許可」。法律で義務付けられたこの許可は、事業を適正に運営し信頼を得るための重要なステップです。しかし、要件や手続きが複雑で、初めて取得する方や更新を考えている方にとっては大きなハードルとなることも。
建設業を事業として営む場合、一定の条件に該当する場合には行政庁の許可を取得する必要があります。これは、建設業は建築する工作物の信頼性の劣る設計、施行により、工作物の安全性が欠如し、国民の身体の安全や建築物建設の発注者の利益が侵害されることを防止することを目的として、軽微な工事を施行する場合を除いて「建設業の許可」を取得しなければならない旨を規定しています。
この記事では建設業許可の基本的な概要から、取得に必要な要件や流れ、押さえておくべきポイントまで、分かりやすく解説します。あなたの事業の第一歩をサポートする情報をお届けします!
これから建設業を営もうとしている事業主の方、またはすでに下請けで建築の一部を事業として営んでいる方で元請け業者から建設業許可を取得することを指示された事業主の方の参考になれば幸いです。
この記事を読んで欲しい人
小規模な工務店を営んでいて、そろそろ建設業許可を取ろうかなとお考えの事業主様
下請で造園業を営んでいるがもっと大きな仕事を取りたいという方
元請業者から建設業許可を取るように言われたけど何から始めれば良いか分からない事業主様
自分で建設業許可申請をしようと考えている事業主様
自分で申請しようと動き出したがあまりに多くの書類が必要で面食らっている事業主様
建設業許可申請の根拠となる法律ー建設業法
(目的)
第一条この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(建設業の許可)
第三条建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
建設業の許可が必要な場合とは
建設業の規模による区分
建設業を営もうとする者は、下記の「軽微な建設工事」のみを請け負うことを営業とする者(建設業法施行令1条の2)以外は、建設業の許可を受けなければなりません。(建設業法3条1項)
無許可営業として、3年以下の罰金または300万円以下の罰金に処せられます。
建設業許可が不要なケース
次のいずれかに該当する場合は建設業の許可を受けなくても工事を請け負うことができます。
建築一式工事の場合(複数の下請企業を元請が統轄することによって行われる大規模工事、家屋やビルなどの見地物、道路や橋の工事など)で
- 1件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税込み)
- 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
建築一式工事以外の工事の場合(専門工事27分野)で
1.1件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)
建設業許可が必要なケース
下記の1もしくは2の事業を営む者で上記の「建設業許可が不要なケース」以上の規模の工事を請け負う場合には建設業の許可が必要になります。
- 建設工事の発注者(施主)から直接建設工事を請け負う「元請人」
- 元請人から建設工事の一部を請け負う「下請負人」
下請負人でも上記の規模以上の工事を請け負う場合には許可が必要
建設業の種類
建設業の業種は2つの一式工事と27の専門工事に、建設工事の種類ごとに区分されています。
建設工事のうち、土木一式工事と建築一式工事は、他の27の専門工事とは異なり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物、建築物を建設する工事で、専門工事を有機的に組み合わせて建設工事を行う場合(施工管理を行う)の業種です。
通常、元請として請け負い、全部を自社で施行するか、一部を下請に発注します。
その他27種類の専門工事は、工事の種類によって適切な施工体制を確保することを目的として建設業法によって細分化されています。建設業者は自社で施行したい29種類の専門工事のうち、自社で請負い施行する工事に該当する建設業許可の申請をする必要があります。
「一式工事」と「専門工事」は全く別の許可業種となります。一式工事の許可を受けた業者でも、500万円以上の「専門工事」を請け負う場合には、その専門工事の事業について許可が必要となります。「一式工事」の許可があれば、包括的に他の専門工事に属する工事を行うことができるようになる訳ではありません。
建築工事と建築業の種類、内容、工事の例示
建設工事の種類 (建設業法別表) 昭和46年制定 | 建設工事の内容 (告示) | 建設工事の例示 (建設業許可事務ガイドライン) |
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土木一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。以下同じ。) | 橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、鉄道軌道(元請)、 区画整理、道路・団地等造成 |
建築一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 | 建築確認を必要とする新築及び増改築 |
大工工事 | 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事 | 大工工事、型枠工事、造作工事 |
左官工事 | 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹き付け、又は貼り付ける工事 | 左官工事、モルタル工事、モル タル防水工事、吹付け工事、と ぎ出し工事、洗い出し工事 |
とび・土工・コンクリート工事 | イ) 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事 ロ)くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事 ハ)土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事 二)コンクリートにより工作物を築造する工事 ホ)その他基礎的ないしは準備的工事 | イ)とび工事、ひき工事、足場 等仮設工事、重量物の揚重 運搬配置工事、鉄骨組立て 工事、コンクリートブロッ ク据付け工事 ロ)くい工事、くい打ち工事、 くい抜き工事、場所打ぐい 工事 ハ)土工事、掘削工事、根切り 工事、発破工事、盛土工事 ニ)コンクリート工事、コンク リート打設工事、コンクリ ート圧送工事、プレストレ ストコンクリート工事 ホ)地すべり防止工事、地盤改 良工事、ボーリンググラウ ト工事、土留め工事、仮締 切り工事、吹付け工事、法 面保護工事、道路付属物設 置工事、屋外広告物設置工 事(『鋼構造物工事』にお ける「屋外広告工事」以外 のもの)、捨石工事、外構 工事、はつり工事、切断穿 孔工事、アンカー工事、あ と施工アンカー工事、潜水 |
石工事 | 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事 | 石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事 |
屋根工事 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 | 屋根ふき工事 |
電気工事 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置す る工事 | 発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、 構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工 事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事 |
管工事 | 冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備 を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気 等を送配するための設備を設置する工事 | 冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給 排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽 工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内 更生工事 |
タイル・れんが・ブロツク工事 | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工 作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又は はり付ける工事 | コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、サイディング工事 |
鋼構造物工事 | 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造す る工事 | 鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク 設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事 |
鉄筋工事 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事 | 鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事 |
舗装工事 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石 等により舗装する工事 | アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工 事、路盤築造工事 |
しゆんせつ工事 | 河川、港湾等の水底をしゆんせつする工事 | しゆんせつ工事 |
板金工事 | 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製 等の付属物を取付ける工事 | 板金加工取付け工事、建築板金工事 |
ガラス工事 | 工作物にガラスを加工して取付ける工事 | ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事 |
塗装工事 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事 | 塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構 造物塗装工事、路面標示工事 |
防水工事 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事 | アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗 膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事 |
内装仕上工事 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、 カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 | インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工 事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工 事 |
機械器具 設置工事 | 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事 | プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事 |
熱絶縁工事 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 | 冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事 |
電気通信工事 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事 | 有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事 |
造園工事 | 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事 | 植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事 |
さく井工事 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事 | さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事 |
建具工事 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事 | 金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事 |
水道施設工事 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事 | 取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事 |
消防施設工事 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事 | 屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事 |
清掃施設工事 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 | ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 |
解体工事 | 工作物の解体を行う工事 | 工作物解体工事 |
(著者作・出典:国土交通省 建設工事の内容、例示、区分)
許可行政庁による区分(知事免許と大臣免許)
建設業の許可には「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」の2種類の許可があります。
都道府県知事許可
「1つの都道府県」の区域内に営業所を設けて建設業を営業する場合。
複数の営業所があっても、全ての営業所が1つの都道府県内にある場合には都道府県知事許可となります。
但し東京都の営業所でのみ建設業を営んでおらず東京都知事許可であっても、全国で工事を請け負うことは可能です。
国土交通大臣許可
「2つ以上の都道府県」に営業所を設けて建設業を営業する場合。
ここでいう営業所とは「建設業を営む営業所」であり、全国に複数の支店を持つ建設業者であっても、東京都にある営業所でしか建設業を営んでいない場合には東京都知事許可となります。また東京都の営業所でのみ建設業を営んでおらず東京都知事許可であっても、全国で工事を請け負うことは可能です。
一般建設業と特定建設業
建設業の許可は、一般建設業の許可と特定建設業の許可に区分されます。
大規模な工事を完成させようとする場合には、下請業者と協力して工事を施行することが多く、複数の工事業者が関係してくることが多くなります。工事の請負金額が大きくなるにつれて下請業者が増えてくる傾向があります。
こういった複数の業者が関係する大規模な工事である場合、工事の発注者と直接請負契約を結ぶ元請け業者の責任が重くなっていきます。 そこで元請業者は下請業者よりも厳しい許可基準を課す必要が出てきます。これが「特定建設業」の許可です。
一般建設業
下記の「特定建設業」以外の場合、一般建設業の許可が必要です。
特定建設業
下記に当てはまる場合、特定建設業の許可が必要となります。
- 工事の発注者から直接、工事を請け負う
- 直接請け負った1件の工事について下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が4,500万円(建築一式工事にあっては7,000万円)以上となる下請契約を締結して工事を施行する場合
下請代金の額は、一次下請の下請代金の合計額が4,500万円(建築一式工事にあっては7,000万円)以上であるかどうかで判断され、二次下請以降の下請代金は含まれません。また、一次下請の者が二次下請の契約をしても、特定建設業の許可は不要です。
一般建設業の許可を受けた者が、「当該許可に係る建設業」について、特定建設業の許可を受けたときは、その者に対する当該建設業に係る一般建設業の許可は、その効力を失う。
つまり自社が元請業者として工事を請け負ことがないのであれば一般建設業許可だけで充分です。また、この一般と特定の区分は業種ごとに区分されます。
例えば電気工事は元請として大きな工事を施行するから特定が必要だけど、造園工事は4,500万円を超す工事は受けない場合には一般が必要になると判断されます。
建設業許可の要件
それではここから建設業の許可を受けるための要件を整理します。
建設業の許可を受けるためには、次の5つの要件を「すべて」満たしていること、「欠格要件」に該当しないことが必要です。
適切な営業所を有していること
建設工事の請負契約を締結することができる適切な営業所を有していること。
プライバシーが確保された「自社専用」の接客スペースがあることが要件となります。接客スペースを持たないバーチャルオフィス等では許可がおりません。
建設業に係る経営業務の管理を適正に足りる能力を有する者がいること(7条1号)
事業者の経営陣に一定の人的な要件に合致した者の配置を求めることにより、建設工事1件ごとの受注生産、契約金額が多額、請負者が工事目的物の引渡し後においても長期間契約不適合責任を負うという、他の産業とは異なる産業特性を有する建設業における適正経営、連鎖倒産の防止→経営の安定、の確保を目的としています。
主たる営業所における「常勤」の「常勤役員等」と、全ての営業所における「常勤」の「専任技術者」の設置が義務付けられています。
法人においては、その「役員等」のうち「常勤」であるものの1人が、個人事業者の場合は、その者又はその支配人のうち1人が次のいずれかに該当しなければなりません。
常勤役員等(経営業務の管理責任者等)は、申請会社の主たる営業所における「常勤」の者でなければなりません。そのため、申請会社以外の他社の代表取締役(一人取締役を含む)、持分会社の代表社員、組合の代表理事、清算人を兼任することや、他で個人事業を営むことは、原則としてできません。
また、同一企業であっても、同一の営業所である場合を除き、管理建築士や宅地建物取引士等、他の法令により「専任性」を要するとされる者を兼務することもできません。逆にいえば同一の営業所内であれば、兼務することは可能です。
更に、他の建設業許可業者の常勤役員等(経営業務の管理責任者等)、専任技術者、建設業法施行令3条に規定する使用人、国家資格者等・監理技術者と兼ねることもできません。一方で、同一の企業内であれば、要件を満たしている状況下で2以上の業種について1人で常勤役員等(経営業務の管理責任者等)になることが可能です。
- 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること(施行規則7条1号イ)
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
「経営業務の管理責任者としての経験を有する者」とは、法人の役員、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等、営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行など建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有する者をいいます。 - 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を、当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。(施行規則7条1号ロ)
(1)建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職責上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る)としての経験を有する者
(2)5年以上役員としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者 - 国土交通大臣が上記の1.2.(施行規則7条1号イ又はロ)に掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの
適切な社会保険に加入していること
加入義務のある事業者は下記のいずれにも該当する者であることが必要です。
イ)健康保険法に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則の規定による届書を提出した者であること(事業規模によって適切な健康保険に加入していること)
ロ)厚生年金金保険法による届書を提出した者であること(事業規模によって適切な厚生年金に加入していること)
ハ)雇用保険法に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則による届書を提出した者であること(週に20時間以上働く労働者を雇用している場合)
「専任技術者」を営業所ごとに置いていること(同条2号)
各営業所に、許可を受けようとする建設業に関する一定の資格又は経験を有する技術者を「専任で」配置することを求めるものです。この基準の趣旨は建設工事についての専門知識を有する技術者の恒常的な技術指導のもとで建設業の営業が行われる体制を構築することで、建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保することにあります。したがって、営業所の専任技術者は、技術上の統括責任者としての役割を担える人材を選ぶ必要があります。
なお、ここでいう「専任技術者」は上記「常勤役員等」が兼務することが可能です。
次のいずれかに該当する者で専任(その営業所に常勤して専らその職務に従事する)の者を「営業所ごとに」置く必要があります。
イ)許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、高校の所定学科等(旧実業高校を含む。)卒業後5年以上、又は、大学の所定学科(高等専門学校・旧専門学校を含む。)を卒業後3年以上、「実務経験」を有する者(同条2号イ)
ロ)許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上の「実務経験」を有する者(学歴・資格を問わない。)(同条2号ロ)
(注)電気工事及び消防施設工事については、それぞれ電気工事士法、消防法等により電気工事士免状及び消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ、一定の工事に直接従事できないこととされている。
ハ)①、②と同等又はそれ以上の知識・技術・技能を有すると認められた者
(1)指定学科に関し、旧実業学校卒業程度検定に合格後5年以上・旧専門学校卒業程度検定に合格後3年以上の「実務経験」を有する者
(2)「資格」区分に該当する者(国家資格者等)
(3)その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者
誠実性を有していること(同条3号)
不良業者を排除するためのものです。注文生産で契約から完成までに長期間を要し、かつ契約額が高額となる建設工事においては、取引が事業者の信用を前提として行われることとな
るため、請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為を排除できる仕組みが必要になるため設けられた要件です。
誠実性がないと判断される定義とは「建設の請負契約時に詐欺や横領、請負契約に違反する行為が明らかなもの」とされています。
法人等が、暴力団の構成員である場合や建築士法・宅地建物取引業法違反などで不正または不誠実な行為を行ったことにより免許等の取消処分を受け、その最終処分日から5年を経過しない者である場合は、この要件を満たさないものとして扱われ、許可を受けることはできません。
財産的基礎又は金銭的信用を有していること(同条4号)
建設業においては、資材の購入等、工事着工のための準備費用を要するなど、その営業に当たってある程度の資金を確保していることが必要になることに鑑み、許可を受ける建設業者としての最低限度の経済的な水準が定められています。
請負契約(軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないことが必要です。
ここで、「財産的基礎又は金銭的信用を有していること」とは、請負契約を履行するに足る財産的基礎等のあることをいいます。
具体的には、次の①~③のいずれかに該当する場合、原則としてこの基準に適合するものとして取り扱われることになります。
① 直前の決算において自己資本の額が500万円以上であること
② 500万円以上の資金調達能力があること
③ 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあり、かつ、現在許可を有していること
「①~③のいずれか」であるため、①と②を併用することはできません。
例えば、直近の決算において自己資本の額が400万円であった場合に、資金調達能力として現金100万円、合計500万円とする取り扱いはできません。
自己資本の額とは、直近の貸借対照表の「純資産総額」が500万円以上であることを指します。
資金調達能力があることは、たとえば金融機関発行の「残高証明書」によって証明する方法をいいます。
欠格要件に該当しないこと
法人であれば役員全員、個人事業主であれば本人が下記の欠格要件に該当するものは、許可を受けることができません。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者(施行規則第8条の2)
- 不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
- 3に該当するとして聴聞の通知を受け取った後、許可を取り消されることを避けるため廃業の届出をした者で、届出の日から5年を経過しない者
- 建設工事を適正に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、又は請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しないもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員等がその事業活動を支配している者
建設業許可申請のながれ
それでは最後に建設業許可申請の流れについて解説いたします。
建設業許可の申請ができるかどうか、①人的要件、②物的要件、③財産要件を確認いたします。
当事務所では初回面談は無料で承ります。まずは申請に当たり一般的な要件をご案内し、建設業の許可を申請できるかどうか、どういった種類の許可を申請するか等を相談させていただきます。
①の結果、申請に必要な要件を満たす場合、報酬額の見積もりをご提示させていただきます。
見積もりにご納得いただけた場合、所定の着手金を申し受けます。
当事務所で受任させていただいた場合、必要書類一覧をご案内いたします。
必要に応じて、事前に申請先行政庁と協議を行います。
協議の結果、要件に該当せず申請が不可能であることがはっきりした場合には、その旨をご案内し着手金は返金いたします。
行政庁との協議の結果、要件に該当すると判断された場合、各種証明書などの収集に着手いたします。ご自身で全ての書類を収集することも可能ですが、委任状を頂戴し代理取得することも可能です。
必要な書類収集が完了したら申請書一式を作成いたします。
必要書類と申請書一式が完成したら報酬額をお支払いただきます。
その後、申請書一式を管轄の行政庁へ代理申請いたします。
行政庁により申請に係る審査が行われます。
行政庁より追加書類の提出、追加情報の聞き取りがあった場合には適時ご依頼者様と確認をし対応いたします。
許可の通知書が「主たる営業所」に転送不要で郵送されます。
万が一なんらかの事情で許可が下りなかった場合、当事務所では報酬額を返金いたします。(着手金を除く)但し、当事務所で通常必要とされる手続きを全て行った結果、行政庁の特別な事情、ご依頼者様の故意による不実の告知や重大な過失による申請拒否の場合には、返金いたしかねます。
許可後に変更内容があった場合は、各種の変更届が必要となります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
建設業許可申請は、法的に事業を進めるための重要なプロセスであり、事業の信頼性や安定性を示す大切な手続きです。申請には要件を満たすことが求められ、書類の準備や提出先の選定など細かな注意点があります。
本記事では許可申請の基本から具体的な流れ、注意すべきポイントまで詳しく解説しました。適切に準備を進めることで、スムーズな申請が可能になります。事業の発展に向けて、まずは基盤をしっかり固めましょう。